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17.RNA抽出法(組織より)(山本寿子)

<用意するもの>

RNA Extraction Kit (Pharmacia Biotech) コード番号:27-9270-01

ファルコンチューブ

ヒスコトロンホモジナイザー

注射針 18 G 

シリンジ 30 ml

超遠心チューブ

2 M 酢酸カリウム

エタノール

<実験方法>

 抽出;

1、組織をとる20-30分前に、extraction bufferを37 ℃で保温した後、室温に戻す。

2、動物組織を抽出:組織をさいの目に刻み、組織1 g当たりextraction bufferを 18 ml 加える。(30 mlのファルコンチューブ使用)

3、冷やしたホモジナイザーで組織をホモゲナイズする。(熱や泡を最小限に!)

 5,000 x g for 20 min. at 15 ℃ (ベックマンJA-14ローター 6,750 rpm)

(4℃で遠心すると、グアニジンが析出するため)

 透明なSupernatantを移す。

4、30 ml シリンジに18 G 針を付け、Supを通し(10回以上)、ゲノムを切断して、粘性を減少させる。

 超遠心;

 SW28.1ロータータイプの場合

     CsTFA : Sample loading = 8.5 : 8.0

(遠心チューブにおいてのvoluemの調整が必要な場合extraction bufferを用いる。)

5、CsTFA cushion の上にサンプルの適当量をやさしくのせたチューブをローターに入れる。(チューブのバランスは、必ず電子天秤で行う。)

 125,000 x g for 16 hr at 15 ℃

 RNAの回収;

6、遠心チューブを取り出し、下のように底から1cm残してアスピレーターで液を除いた後、逆さにして、5分放置する。(グアニジンの入った液 extraction bufferを 捨ててしまうので, これ以降のRNaseのコンタミに注意する。)

7、逆さまにした状態で矢印のところで切るか、またはそこまでキムタオルで拭く。

 チューブを氷上において、250 μl TEbufferでRNAペレットをピペッティングしてとかす。

8、滅菌したエッペンドルフチューブに移して十分にvortexし、65 ℃ 10分インキュベートする。(この間も時々vortexする。)

9、最大回転数で10秒遠心し、Supをエッペンドルフチューブに移す。

10、1/10 vol. 2 M KoAc と2.5 vol.EtOHを加え、-20 ℃ 2 hr 以上置く。

11、5,000 x g for 20 min.で、遠心した後, Supを捨て、ペレットを乾燥させて、滅菌したMilliQ適量(またはTE buffer)で溶かす。   但し、ペレットを完全に乾燥すると溶けにくいので注意すること。

 RNA濃度の決定;

 吸光光度計にて、A260測定する

  1 A260 unit= 40μg RNA/ml

    (筆者は小腸1 gより1.2 mgのtotal RNAしか得られなかった。)

また、同時に200 ng-500 ngを泳動して、rRNAのバンドを確認すること。

 totalRNAからpolyA+RNAを精製する。

<用意するもの>

OligotexTM-dT30<Super> 日本ロシュ

2XElution buffer (20 mM Tris-HCl pH 7.5, 2 mM EDTA, 0.2 % SDS)

5 M NaCl

Washing buffer (10 mM Tis-HCl pH 7.5, 1 mM EDTA, 0.5 M NaCl, 0.1 % SDS)

TE Buffer

<実験方法>

  12、total RNA 500μg/tubeよりmRNAを精製する。

total RNA Xμl(500μg)

2X elution buffer 250μl

Milli Q水 ( 500-250-X) μl

全体で1x elution bufferになるようにする。

 13、各々にOligotexTM-dT 30<Super> 0.5 mlを加え、65 ℃ 5 min.加熱後、on ice で、 急冷して3 min.放置する。

 14、5 M NaCl 0.1 mlを加え、37 ℃ 10 min.インキュベートする。

   15,000 rpm 3 min. 遠心後、Supをピペットで除去する。

 15、ペレットにWashing Buffer 1.25 ml加え、ピペッティングにより完全に懸濁 する。

  (SDSにより泡が発生するので、初めは少量のbufferを加えピペッティングした後、1.25 mlに調整する。)

 16、15,000 rpm 3 min. 遠心後Supをピペットで除去する。

 17、ペレットをTE Buffer 0.5 ml加え, 完全に懸濁する。

 18、65 ℃ 5 min.加熱後、on ice 3 min.

 19、15,000 rpm 3 min. 遠心後、Sup(polyA+ RNA)を回収する。

 20、それに1/10 vol.KoAc , 2.5vol.EtOHを加え、-80 ℃ 2 hr エタ沈する。

 21、15,000 rpm 20 min.遠心後、Sup捨て、70% EtOHでwashする。

    ペレットを100 μl TEに溶かす。

 22、吸光光度計にてpolyA+RNAの、濃度をチェックする。

  (筆者は小腸においてtotal RNA 500 μgから、14.2 μgしか回収できなかった。)

 23、エタ沈して-80 ℃で保存し、目的の必要に応じた量を用いる。

 

mRNA抽出法(組織からdirectに抽出する方法)           山本 寿子

この方法は簡便だが、totalRNA→mRNAとStepwiseに精製する方法に比較して、 RNaseの混入は多いように思われる。従って、RNase量の多い臓器(肝、腎)には、適当でないことがある。また、エタ沈での保存も切れやすいため、早めの使用が望ましい。(長期保存には、向かない。)

 

<準備するもの>

・Quick Prep Micro mRNA Purification Kit (Pharmacia Biotech) コード番号:27-9255-01

・ファルコンチューブ

・ヒスコトロンホモジナイザー

・注射針 18 G

・シリンジ 30 ml

<実験方法>

1、組織0.2 gをはかりとり、Extraction Buffer 0.8 ml 入った10 ml用ファルコンチューブに入れて、よくホモジナイズする。

2、Elution Buffer 1.6 ml を加えて、よくホモジナイズする。( その後この Bufferは 65℃にしておく。)

3、18 G針をつけた30 mlシリンジでゲノムを切る。(10回以上通す)

  8,000xg 1min.遠心する。

ここでOligo(dT)-Cellulose1mlを入れたエッペンドルフチューブも 1min. 遠心する。 その後Supを除く。

4、透明なSup1mlをセルロースペレットにのせピペットで、懸濁する。(小さい塊ができても無視してよい)次にチューブを3min.転倒混和する。 

5、16,000 x g 10 sec. 遠心し、Supを除く。

6、High-Salt Buffer1 mlを加え、チューブを転倒混和にて、懸濁する。次に、16,000 x g 10 sec. 遠心し、Supを除く。

7、6、を4回繰り返す。

8、Low-Salt Buffer 1 mlを加え、チューブを転倒混和にて、懸濁させる。次に、16.000xg 10 sec. 遠心し、Supを除く。

9、8、を1回繰り返す。

10、Low-Salt Buffer 0.3 mlを加え懸濁させ、そのスラリーをMicro Spin Column(下にエッペンドルフチューブをおいたもの)に移す。

  フルスピードで 5 sec. 遠心する。

11、エッペンに、貯まった液を捨て、Low-Salt Buffer 0.5 mlを再びカラムに加え、フルスピードで5 sec.遠心する。(セルロースペレットをこわさないように!)

12、11、を2回行う。

  滅菌したエッペンドルフチューブの上に、カラムを置き遠心機にセットする。そして、65℃に温められたElution Buffer 0.2 mlをレジンの上に置き、フルスピードで5秒遠心する。

13、さらに、0.2mlのElution Bufferを加え遠心する。

  溶出したmRNAを含むチューブはon iceにしておく。

14、吸光光度計にて、A260測定する。

  1A260unit=40μgRNA/ml

15、エタ沈して-80℃で保存し、目的に応じた量を用いる。