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27.ABI 373 DNA Sequencer の使い方 BigDye 編(横溝岳彦)

Version up @1999年3月16日

 

ABIシーケンサーのBigDye対応編です。これまでのFSやTSは使えませんのでご注意下さい。なお、以下は、1999年3月16日現在のやり方です。下線部部分は現在第二生化内で得られている情報です。

 

#1 Template Plasmidの調整(Mini-prep+PEG沈法)

1)LB(TB) 10mlにて大腸菌を終夜培養

2)集菌

3)200μlのGTEに懸濁

4)300μlの0.2M NaOH/1% SDSを加え、氷上で5分(転倒混和のこと)

5)300μlの3M KOAc, pH 4.8を加え、氷上で5分(転倒混和のこと)

6)室温で10分間遠心し、supを回収

7)RNaseを20μg/ml加え、37℃、20分

8)400μlのクロロホルムで上層を回収(Phenolはtaqを阻害するので使わな いこと)

9)等量のイソプロでDNAを沈殿させる(遠心室温10分)

10)32μl H2Oに溶いて、8μlの4M NaCl, 40μl の13% PEG8000で沈殿させる 。(氷上20分、遠心4℃、20分)

11)70% EtOHでwashし、TEまたは水に溶かし、吸光を測る。理想的にはこの 段階でゲルでpurityをチェックするのが望ましい。(RNA, genomeは全く見えませんでした)

 

#2 Qiagen精製のplasmidはPEG沈無しで読むことができます。また谷口先生によれば、Mini-prepのみでも読めるとのことです。(横溝は確認していません)

 

#3 Primer

PrimerはSequenaseに使う17mer程度のものではAnnealが悪いので、少し長く作った Primerを用いる。一般的に用いられるReverse, M-20, T3, T7, KS, SK(いずれもABI用に作成して読めることを確認済み)はコントロ ール(M-21)にあわせて、0.8μMに調整して5研の-20 ℃に入っています(黒い箱でPrimer, Templateと書いてあります)。自分で作成するときのTmの目安は、2x(A+T)+4x(G+C)で50-60℃(マニュアルでは40-60となっているが 、低いと読めない)である。

 

#4 Cycle sequence反応。

Reaction mixture

FS premix 8 μl

Double strand DNA 0.25-0.5 μg(pcDNA3等の長いベクターの場合は1-2 μg位使ったほうがいい)

Primer 3.2 mole (0.8 μM を4 μl )

water x μl

-----------------------------------

Total 20 μl

 

Hot startは必要ないが、氷上でmixして、circularの温度が96℃に上昇してからHold してTubeを差し込んですぐにstartすること。室温からstartするとMiss annealを起こしてしまい、Backgroundが高くなります。なお、FSになってからは、 Double strand DNA 0.25-0.5 μgをtemplateにします。

6研のPerkin-ElmerのThermal cycler480では#12(96度30秒、50度15秒、60度4分を 25cycle)で、機器室の9600ではFile 8(96度10秒、50度5秒、60度4分を25cycle)で反応させれば自動的にPCRを行って4℃で keepするように設定してあります。9600はoil freeでOK(micro tubeと使うこと)ですが、480はoilが必要です。

 

#5 PCR反応後の精製。

これまでと少し違います。BigDyeは分子量が大きく、エタ沈の際に落ちやすいので、 取り込まれなかったDyeをいかに取り除くかが重要です。ABIは完全にエタノールを除 くために丸底のチューブを使うことを推奨していますが、横溝の経験では、角底のも ののほうがpptを失いにくいのでおすすめです。現在のところ、isopro沈が行われて います。

 

Tube あたり20 μl H2O, Isopropanol 60 μlを1.5 ml tubeに分注して おく。(塩は不要)

PCR productを全量移す。

室温15分。

室温遠心20分、上清を完全にのぞく。

70 % EtOH 250 μl を加え、vortex後、室温遠心5分。エタノールを完 全に除く(これは必要です)

ふたを空けて5分室温放置後、Loading buffer 3-4 microLに溶かす。全量 を泳動。

Pelletは見えないことが多いので、注意してエタ沈すること。またPelletに色( Pinkのことが多い)が付いているときはバックが高くてまず読めませんから、再度エタ沈を行うこと。

 

#6 ゲル板の調整。

マニュアルでは6%であり、現在マリソルのPremix gelを使っている。長く読もうとす るとき、ゲル板の調整は大変重要で、流し込んでから、最低2時間、気温の低いとき は4時間位は放置しておいた方が望ましい。(アクリルアミドの重合が大切のようです )。

(マリソルPremixの場合--34 cmゲル、Page)スペーサーは0.4mm

マリソルのPremix gelを室温に戻す。このときureaが析出しているようなら、 しばらく放置する。(決して振ってはいけない。特に泡は要注意です。)

ゲル板を専用の洗剤でよく洗う。(傷をつけないように注意。ゲル板は1 set 6万円)

Isopro+ ケイドライでゲル板をよく磨く。

マリソルのPremix gelにAPS stickを1本加え、静かに20回転倒混和する。この とき空気が入らないように注意する。

先を切り、流し込む。上にスペーサーを入れて、サランラップで覆い、その上からクリップで止める(乾燥防止)。

そのまま2-4時間以上放置する。

(Long Ranger Single gel packの場合--48cm, Long Ranger)スペーサーは0.3mm

ゲル板を専用の洗剤でよく洗う。

Isopro+ ケイドライでゲル板をよく磨く。

Packに書いてあるとおり、良く溶解する。先を切り、ビーカーに移して30mlシリンジで吸い、静かに流し込む。

上にスペーサーを入れて、サランラップで覆い、その上からクリップで止める(乾燥防止)。

7 そのまま2-4時間以上放置する。

 

#7 泳動

TBEを2l 作る。

ゲル板のテープを全てはずし、ガラスの表面を専用の洗剤で洗う。ゲルの上端は蒸留水でリンスする。

Isopro+ ケイドライでゲル板をよく磨く。

Plate checkを行い、OKなら組み立てる(マニュアル参照)。青い線が650-700程度、赤い線が2000以下になるように、PMT voltageを調整する。

サンプルを95-100℃、2 min. denature後、急速冷却しon iceにする。

再度ウェルを洗う(極めて大切)。

サンプルをロードし、start. (マニュアル参照) 各種設定を行う。サンプルの数が多いときは、一つおきにdenature、Loadを行う。

(泳動条件)

(34cm, Pageゲルの場合)

Power 26-30W(26W位の低速泳動がいいようです), Time 16Hrs, Volt 2500V, Amp. 40 mA

(48cm, Long Rangerの場合)

Power 42W, Time 18Hrs, Volt 2800V, Amp. 40 mA

 

マニュアルに書いていないTips

1)両端のレーンの一つ外側に4 μl のLoading bufferをのせるとSmilingを防ぐことができる。

 

#8 分析

分析はマニュアルを参考にしていただきたいのですが、注意点を一つ。Gel fileを保存したくなりますが、別の名前にするとシステムが動かなくなるので、絶対に行わな いで下さい。どうしてもとっておきたい人は、自分のHard diskか、MOに入れること 。原則として泳動の翌朝には必ず解析し、データは自分で管理すること。終えたら誰かが上書きすると考えて下さい。

 

また、泳動後に必ずサンプルのspacingとsignalを確認しましょう。spacingがレンジ(12-15)に入っていないときは、泳動条件を変える必要があります。また、signalはGが100-200が至適です。これが二桁の場合は、plasmidの純度を上げるか、量を増やした方がいいと思います。