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29.DNAシーケンスのためのdeletion mutant 作成法(横溝岳彦)

長いfragmentの塩基配列を決定する場合、最も一般的なのは、DNAの末端からDNAシー ケンスを行い、得られた塩基配列をもとにシーケンスプライマーを作成する方法であ る。しかしながら、目的のDNA断片の長さが数kbにわたる場合は、数多くのシーケン スを行う必要があり、時間と手間を要する。こういった場合、vectorのMCSの制限酵 素サイトを利用したdeletion mutantの作成や、Exonuclease IIIによるdeletion mutantの作成を行えば、一度の DNAシーケンス(しかも同一のprimerによるシーケンス)で3-4kbの塩基配列を一度に決 定することも可能である。

 

1)vectorのMCSの制限酵素サイトを利用したdeletion mutantの作成方法

これはvector:insertのモル比が1:1の場合、insertがサブクローニングされる確 率がかなり低いことを逆手に取ったdeletion法である。mappingした残りの反応液を 使って簡単にdeletionを行うことができる。当然ながら、MCSと、insertを同時に切 断する制限酵素があることが条件。

・適当量(mappingできる程度で十分)のDNAを制限酵素で切断する。AGEでinsert内 にもサイトがあり、fragmentが観察されれば、そのfragmentをdeleteしたmutantを作 ることができる。完全に切断することが重要。

・酵素反応液を65℃で10分程度処理し、制限酵素を失活させる。5 micro Lを取り 、ライゲーションする。(筆者は、TOYOBOのligation highを5 microL加えて16℃、30分。)そのまま2-5 microL程度を用いて大腸菌を形質 転換する。

・翌日colonyをpick upし、Mini-prepでdeletionを確認する。通常ほぼ100%の確 率でdeletionされている。

deleteされていない場合は、制限酵素消化が不完全なことが多いので、再度切る ところからやり直す。

 

2)Exonuclease IIIによるdeletion mutantの作成方法

(Takara:Kilp-Sequence用Deletion Kit Code 6030)

kitの説明書から多少工夫を加えて行っている。

・Plasmid DNA10 micro gramを二種の制限酵素で完全に切断する。insert側は5’ 突出または平滑末端になるもの、primer側は3’突出(Sac-I, Kpn-1など)のもので。

・Phe/Chl-->EtOH沈殿

・PptをExonuclease buffer 100 micro Lに溶かし、37℃で5分preincubationする 。

・Exonuclease III 180 U (1 micro L)加え反応開始。一分おきに10 micro Lずつ 取って、あらかじめOn iceにしておいたMung Bean Nuclease Buffer 100 micro Lに移して反応停止。(一本 にまとめてOK)

・65℃5分でExonuclease III を失活させ、37℃のincubatorに移す。

・Mung Bean Nuclease 50 U (2 micro L)加え37℃ 30分。

・Phe/Chl-->EtOH沈殿

・PptをKlenow Buffer 50 micro Lに溶解し、Klenow 2 U (1 micro L)加えて、37℃ 15分でBlunting。

・65℃、10分でklenowを失活させる。

・半分を(残りは失敗したときのために取っておく)AGEで切り出し。この時、自分 の目的にあった長さのplasmidを3-4個に分けて切り出すことが重要。Vector 3 kb+ Insert 4 kbの場合、7-6 kb, 6-5 kb, 5-4kb, 4-3 kb)といった具合に分ける ことで、目的の長さのmutantを効率よく取ることができる)筆者は、Quiax II(キアゲン)で20 micro Lに回収している。(二回目の溶出はDNA濃度が薄くなるので 行わない)

・回収したうち5 micro L+Ligation high 5 micro Lで16℃、30 分でライゲーシ ョン。

・EtOH沈し、20 micro Lの系でinsert側の切断で用いた制限酵素で切断。(切れの こりによるBackgroundを下げる)

・5 micro Lで大腸菌(DH5a)50 micro Lを形質転換。翌日得られたコロニーを拾い 、colony direct PCR(別項参照)でinsertの長さを確認し、約300bpおきになるようなコロニー を選んでDNAシーケンスを行う。削れすぎたcolonyも結構出るので、colony direct PCRを行うことをおすすめします。