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6.FPLC使用法(魚住尚紀)

 FPLCは、蛋白質分離・精製を目的として構成された、液体クロマトグフィー(エキクロ)システムで、当教室には5研コールドチャンバとコールドルームにそれぞれ1システム設置されている。コールドルームのもののが新しく、装置も一部異なるが、基本的な使い方は全く同じである。塩を用いて溶出させることが多いので、金属部品が少なく作られている。

 構成

 

 使用法ならびに注意点

操作は、基本的にコントローラーからの入力で行う。レコーダーのフルスケールの設定とインジェクションバルブの切り替えは手で行い、フラクションサイズはフラクションコレクターに直接入力する。

 1:Bufferを調整し、0.22μmのフィルタで濾過する。

 2:インジェクションバルブをWASHにし、コントローラーのmanualメニューのWASH A.B.で1.1と入力する。約5分でポンプシリンジ内のBufferが置換される。(1.0と入力するとポンプAのみ、0.1とするとBのみが置換される。)

 3:インジェクションバルブをInjにし、流速1ml/min 程度で送液してサンプルループまでのライン内のBufferを置換する。このとき、エアが残っていないことをよく確認すること。

 4:ゲル濾過カラム以外の場合、送液しながら逆向けにカラムを接続する。(カラムは、Bufferの流れる方向が決まっており、Pharmaciaのカラムでは、赤いキャップのある方が上流で、Tosohのカラムでは、送液方向がテープで明示されている。)ゲル濾過カラムのときは、この項をとばして5:へ進む。カラム取扱書に従って、酸・アルカリ・塩等をインジェクションし、カラムの汚れを洗い流す。

 5:流速を0ml/minにしてから、カラムの接続をはずす。送液を再開し、カラムを正しい向きに接続する。カラムが平衡化するまで待つ。ベースラインが安定し、pHがBufferと等しくなるのが指標となる。味で確認するのも良い方法である。

 6:平衡化を待つ間に、プログラムを作成する。method fileを押すとプログラム編集モードにはいる。プログラムの一例を示す。

 

     ml  function  parameter

     0.0 CONC %B  0.0

     0.0 ML/MIN   1.00

     0.0 CM/ML   0.50

     0.0 HOLD プログラムの一時停止。contを押すと再開する。

     1.0 CONC %B  0.0

     11.0   PORT.SET      6.1 フラクションコレクター作動。

     36.0 PORT.SET      6.0 フラクションコレクター停止。

     36.0   CONC   %B  70.0   35ml(36-1)で70%のグラジエントをかける。

     36.0   CONC   %B  100

           51.0   CONC   %B  100  100%Bを15ml(51-36)送液する。

           51.0   CONC   %B    0.0

    

   グラジエントは、ml数(時間ではない)とBuffer Bの割合(CONC %B)を開始点と終点についてそれぞれ入力することで設定する。フラクションの大きさ(サイズ)はフラクションコレクターに直接入力する。

 7:平衡化したら、針をインジェクションポートに差し込み、インジェクションバルブをLoadに切り替え、サンプルをサンプルループに導入する。このとき、サンプルは、1万*gで10分遠心 するか、0.22μmフィルターを通すかし、ごみを除く。ループ内にエアを入れてしまわないように気をつけること。

 8:針をさしたまま、インジェクションバルブをInjに切り替える。カラムにつかない画分(素通り 画分、void、flow through等と呼ぶ)がでてくるので回収する。吸光がベースラインに戻ったら、インジェクションポートを再びLoadに戻す。(このときも針はインジェクションポートにさしておく。)直ちに、コントローラーのcontを押し、プログラムを再開させる。manual操作は、プログラムより優先するので、途中でグラジエントを停止したり、フラクションの採取の開始・停止を指示することができる。予想外に蛋白が早く溶出し始めた場合は、manualメニューのPORT.SETを呼び出し、6.1と入力すればフラクションの採取を開始することができる。エラーが生じてプログラムが停止したり、フラクションが正しく採取されなかったりすることが時々あるので、極力FPLCのそばを離れないようにする。

 9:プログラムが終了したらカラム内のBufferをmilliQ水に置換し、Endを押してシステムを停止する。ディテクターランプとレコーダーの電源をオフにする。

カラム一覧   ()内は、カラムサイズ(直径(mm)/or×長さ(cm))

 イオン交換カラム

   陰イオン交換        Mono-Q(5/5,10/10:Pharmacia)

                              Hiload Q-Sepharose(26/10:Pharmacia)

                           DEAE-5PW(8.0×7.5,21.5×15:Tosoh)

     陽イオン交換        Mono-S(5/5,10/10:Pharmacia)

      クロマトフォーカシング   Mono-P(5/5,5/20:Pharmacia)

 Affinityカラム         Blue-5PW(7.5×7.5:Tosoh)

 ハイドロキシアパタイトカラム  HA-1000(8.0×7.5:Tosoh)

 疎水クロマトカラム             Phenyl-Superose(5/5,10/10:Pharmacia)

                                 Alkyl-Superose(10/10:Pharmacia)

                                 Hiload Phenyl-Sepharose(26/10:Pharmacia)

                                 Phenyl-5PW(7.5×7.5,21.5×15:Tosoh)

 ゲル濾過カラム                Superose 6(10/30:Pharmacia)

                        Superose 12(10/30:Pharmacia)

                        Superdex 75(10/30:Pharmacia)

                                G3000SWXL(7.8×30:Tosoh)

 逆相カラム                    Pro RPC(5/10:Pharmacia)

                                 Pep RPC(5/5:Pharmacia)

                                 ODS-80TM(4.6×15:Tosoh)

  脱塩カラム                    Fast Desalting(10/10:Pharmacia)